コンタクトレンズを使用での目の健康と病気について

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角膜・強膜の病気

角膜輪部(かくまくりんぶ)フリクテン/めぼし

黒目と白目の境界を角膜輪部といいますが、そこに小さな水泡のような白いふくらみができる病気です。乳幼児、学童期の子どもおよび青年層に多い病気ですが、最近はあまりみられなくなりました。ある種のアレルギーが原因でおこるといわれます。
【症状・診断】
目がごろつく、まぶしい、涙が出る、あるいは目が痛いといった症状が現われます。診断は、角膜輪部に小さな円形の白いふくらみができ、そのまわりの結膜が赤く充血し、ふくらみの先端は、特殊な染色液でよく染まることから容易です。1〜2週間で自然に治るといわれます。
【治療】
副腎皮質ステロイド薬の点眼が有効です

角膜(かくまく)ヘルペス

単純ヘルペスというウイルスによる、角膜の感染症です。このウイルスは潜伏感染といって、頭のなかの神経の根元に潜んでいて、ふだんは悪さをしないのですが、からだの抵抗力が衰えたときなどに、神経を伝ってくり返し角膜に病気をおこします。
【症状・診断】
角膜の表面をおかすタイプと、深部をおかすタイプの2種類があります。表面をおかすタイプは、角膜の表面に木の枝のような特徴的な形の潰瘍[樹枝状潰瘍]をつくります。自覚症状として、ごろつく、まぶしい、涙が出るということがあげられます。角膜の知覚が低下するのもこの病気の特徴です。再発をくり返していると、深部をおかすタイプに移行する場合があります。角膜の深部がおかされると、角膜は白く濁るために、前にあげた自覚症状とともに、いちじるしい視力低下がおこります。このタイプは治りにくく慢性の経過をとります。
【治療】
抗ウイルス薬のアシクロビル眼軟膏や、IDU点眼液の点眼を行ないます。

表層角膜炎(ひょうそうかくまくえん)

角膜の表面に小さな点状の傷[びらん]がたくさんできる病気で、その原因にはコンタクトレンズなどによる外傷やさかさまつげ、感染などがありますが、原因不明のものも少なくありません。
【症状・診断】
目がごろついたり、まぶしかったりし、ときとして視力が低下します。角膜を特殊な染色液で染めると、角膜表面に点状のびらんがはっきりと観察できます。
【治療】
原因のはっきりしている場合は、その原因をとりのぞいたり、原因となっている病気の治療をします。原因不明のものに対しては、角膜保護薬などの点眼を行ないますが、点眼を中止するとまた再発する場合も少なくありません。

角膜実質炎(かくまくじっしつえん)

目が炎症をおこして、角膜の深いところ[実質]に濁りをつくるものを角膜実質炎といいます。今日ではまれな病気になりましたが、角膜実質炎の代表的なものは、先天梅毒と結核によるものです。
【症状・診断】
先天梅毒性角膜実質炎は、先天的に梅毒をもっている人におこる病気で、幼児期から20歳ごろに突然角膜全体が濁り、虹彩炎をともないます。その後、角膜にたくさんの血管が入りこんできますが、濁りは少しずつ減ってゆき、最終的には、軽い濁りを残して病気は治ります。発病の時期のずれはありますが、両眼におこるといわれています。結核による角膜実質炎は、片目におこることが多く、虹彩炎とともに角膜の濁りがごく限られた部分だけにみられます。この濁りは瞳孔の近くにでき、しかも炎症が治った後も強く残るので、かなり視力が落ちます。
【治療】
先天梅毒や結核がないかどうか、全身チェックが必要です。角膜実質炎に対しては、副腎皮質ステロイド薬の点眼をしますが、先天梅毒や結核があればそれの治療も行ないます。

角膜潰瘍(かくまくかいよう)

角膜の一部がえぐれた状態になった場合、これを角膜潰瘍といいます。ふつう、角膜潰瘍は細菌などの感染によっておこりますが、感染と関係なく発症するものもあります。目の表面やまぶたの裏側にはつねにいろいろな細菌がいますが、ふだんは角膜の表面の膜[上皮]や涙が目を保護しているので、この細菌は悪さをしません。しかし、かわき目で涙が出ないとか、コンタクトレンズのために角膜に傷ができたりすると、この細菌が角膜をおかして潰瘍をつくります。また、副腎皮質ステロイド薬や抗生物質の点眼を長い間つづけているときや、植物で目を突いたときなどには、カビによる潰瘍がおきる場合もあります。
【症状・診断】
まぶしい、涙が出る、目が痛いといった症状が出現します。何が原因で潰瘍ができたのかということを証明するため、潰瘍にいる細菌やカビの種類を調べる検査をします。
【治療】
細菌が原因でおこった潰瘍の治療には、細菌を殺すための薬[抗生物質]の点眼や内服、注射をします。原因となった細菌の種類がわかったら、たくさんの種類がある抗生物質のなかで、その細菌にもっとも効く抗生物質を使います。潰瘍の部分からカビを証明するにはかなり日数がかかります。もし、抗生物質を使ってもなかなか治らない場合は、カビによる潰瘍を考え、カビに効く薬[抗真菌薬]を使います。

突き目(つきめ)/匐行性角膜潰瘍(ふくこうせいかくまくかいよう)

目を何かで突いたりしたとき、角膜に細菌が感染して潰瘍ができ、急激に悪くなる病気です。かつて手作業が多かった農村で、稲刈りのときなどに稲穂で目を突いておこることがあったため、俗に突き目と呼ばれます。進行の速い病気で、病変がある程度進行すると、細菌感染が治っても、後に角膜の濁りを残し、視力が低下するので、早期に適切な治療をする必要があります。
【症状】
急激に発病します。はげしい目の痛みとまぶしさがあり、涙が出ます。 まぶたははれ、結膜は充血します。はじめは、角膜に濁りがあるだけですが、さらに進むと潰瘍ができ、角膜の後ろの、前房というところに膿がたまり、適切な治療が行なわれないと、角膜に穴があいて失明することもあります。
【治療】
抗生物質の点眼や眼球への注射、内服、静脈注射を行ないます。目を何かで突いたときは、軽くても眼科医を訪れることが大切です。

かん目(め)(角膜軟化症(かくまくなんかしょう)

ビタミンAの欠乏による角膜の病気です。乳幼児で栄養状態がわるかったり、はしか、肺炎などで全身状態がわるいときにおこります。かつては、失明の大きな原因の1つでしたが、今日、わが国ではほとんどみられなくなりました。
【症状・診断】
程度の差はあるものの、両目に現われる病気で、夜盲症を合併します。まず結膜乾燥症をおこした後、角膜は乾燥して、光沢がなくなり、分泌物があかのように付着します。やがて二次感染をおこして中央部に潰瘍ができ、さらに穿孔し失明します。
【治療】
ビタミンAの投与と、感染予防のため抗生物質の点眼を行ないます。

乾性角結膜炎(かんせいかくけつまくえん)/ドライアイ

涙は目を保護するためにつねに少しずつ分泌されていますが、この涙の分泌が少なくなったり、涙の機能が低下したりすると、角膜と結膜の表面に細かい傷[点状びらん]ができます。原因は不明で、40歳過ぎの女性に多くみられます。
【症状・診断】
目がかわいてごろついたり、ときにまぶしさや視力低下があります。涙の分泌量を調べると、ひじょうに少なくなっていることがわかります。また、角膜と結膜を特殊な液で染色すると、点状びらんに相当するところが染まります
【治療】
根本的な治療法はありません。涙の分泌低下によって目の表面が乾燥しないように、保護用の眼鏡を装用したり、涙の代わりをする人工涙液や角膜保護薬を点眼します。

円錐角膜(えんすいかくまく)

角膜の中央部が円錐状に突出する原因不明の病気です。多くの場合、思春期ごろ両目に発病し徐々に進行しますが、30歳くらいになると、進行が止まることが多いようです。アトピー性皮膚炎のある人に多くみられます。
【症状・診断】
円錐状に突出した角膜は、中央にいくほど異様に薄くなっており、角膜表面の形状を調べる角膜形状解析装置で観察すると、初期の軽い円錐角膜も容易に診断されます。急速に進行し、中央部でデスメ膜という角膜の深部にある膜が破れると、その部分の角膜がはがれるため濁りができ、いちじるしい視力低下が現われます。涙が出たり、結膜の充血がみられることもあります。
【治療】
軽い場合は、ハードコンタクトレンズを装用します。円錐状の突出がひどく、コンタクトレンズが装用できない場合は、角膜移植術等を行ないます。

角膜変性症(かくまくへんせいしょう)

老化現象や角膜に脂肪や石灰がくっついたり、あるいは遺伝によって角膜が濁っていびつになる病気を角膜変性症といいます。ここでは、正しくは角膜ジストロフィーと呼ばれる遺伝性の病気について解説します。
【症状・診断】
一般的に若いころ両方の目に発病し、ゆっくりと進行していきます。角膜にみられる濁りの形から顆粒状ジストロフィー、斑状ジストロフィー、格子状ジストロフィー、膠様滴状ジストロフィーなどに分類されています。この病気の原因として、代謝の異常が関与していることがわかっています。また、どのような遺伝の形をとるかということがわかっている病気もあります。
【治療】
確実な治療法はわかっていません。病気が進んで視力がひじょうに低下した場合には、角膜移植を行ないます。タイプによっては、何年かたつうちに移植した角膜にも同じ病気がおこってくることがあります

雪目(ゆきめ)/雪眼炎(せつがんえん)

スキーや雪山登山で強い紫外線に目がさらされたときに、角膜の表面に細かい傷がつくことがあり、これを雪目といいます。そのほか、殺菌灯、電気溶接、海や山などの紫外線でも同様のことがおこります。
【症状】
紫外線に目がさらされて、10時間ぐらいして発病します。 目はごろつき、涙が出て、まぶしさとはげしい痛みのため目をあけられないこともあります。結膜は真っ赤に充血し、角膜は表面全体に細かい傷ができていて、特殊な染色液で染めると角膜表面は点状に染まります。
【治療】
角膜保護薬等を点眼します。ふつう、1日か2日で治ります。紫外線にさらされるような場所では、紫外線から目を保護するためのめがねをかけることが必要です。

上強膜炎(じょうきょうまくえん)

白目のいちばん表面にあるのが結膜で、その下にあるのが強膜という白い強い膜です。強膜の表面に接する部分は、比較的血管が多く上強膜といわれ、ここに炎症がおこるのが上強膜炎です。原因は不明ですが、しばしば関節リウマチに合併します。
【症状・診断】
まぶしい、涙が出る、目が痛いといった症状があり、ときに、目を押さえると痛いこともあります。白目の一部分が赤く充血し、場合によっては、その充血したところの一部が盛り上がった状態になっていることもあります。
【治療】
副腎皮質ステロイド薬の点眼が有効です。

強膜炎(きょうまくえん)

上強膜炎に比べて深い部分の強膜におこった炎症が、強膜炎です。しばしば関節リウマチに合併しますが、比較的まれな病気です。
【症状・診断】
自覚症状として目の痛みが強いことが特徴ですが、ほかに、まぶしい、涙が出るといった症状があります。白目の一部に紫がかった充血があり、部分的に盛り上がった状態になることもあります。結膜の充血は血管収縮薬を点眼すると消えますが、強膜炎の充血は消えないので、区別できます。虹彩炎を合併することがしばしばあります。
【治療】
副腎皮質ステロイド薬の点眼をします。重症な場合には、副腎皮質ステロイド薬を目に注射したり、内服することもあります。